

そろばんを習うと
①計算力
当然のことですがそろばんを習えば計算力が身につきます。学校の勉強では、算数はもちろん、数学や物理など高度な理数系、簿記などの商業科目でも役に立ちます。生活の上では買い物の計算だけでなく、消費税計算やセール時の割引の計算、割り勘、時間の計算といったものも瞬時にこなせます。
また、そろばんは1+1=2のような記憶には一切頼りません。そのため、インド式計算や因数分解のような、このパターンなら速いという制約がなく、どんなパターンの計算にも対応できます。

答えを書いて何秒で解けますか?
全問正解で、

②集中力
そろばんは、制限時間内にどれだけ正答して点数を取るかで実力が評価されます。大抵の検定試験は制限時間24分で問題数は60題、大会はもっと短い時間で200題・300題となる時もあります。自分の実力の限界ギリギリの問題を1問でも多く解くためには、計算しながらも次にしなければならない動作を予測して右手と左手と頭が別々のことをし続けます。もちろん、途中で目を離してしまったり、他のことを考えてしまうと答えを間違えてしまったり遅くなって点数が下がってしまいます。
つまり、そろばんの腕が高いほど、極限に集中できる時間が増していくと言えます。
極限の集中、全日本珠算選手権大会
全日本では、集中しすぎて競技中の記憶がなく、タイムスリップしたような感覚になる一方、点数は自己最高クラスという状態になる選手が続出します。プロスポーツ選手の中でも選ばれた一部の選手のみが至れるという「ゾーン」に入れるほどの集中なのです。
③効率化能力
すばやさ
どうしたら物事を早くこなせるか、次にどう動いたらいいか、といったことを考え実行する能力が計数処理能力です。そろばんの検定試験・大会は難易度に上限がなく、常に難しい問題に挑戦している状態となり、制限時間のある問題はいつもギリギリ。
どうしたら少しでも速く問題を解けるかを考え、それが実行できた時そろばんの技術は上達します。この能力は集中力と同様に、勉強や仕事をする面でもとても大切な力です。
ある意味、計算力よりも役に立つのではないでしょうか。
←無駄のない計算
答えを書いてる間に、暗算の計算がスタート!
左手がボタンを押し、暗算から計算を引き継いだ左手が動き出します。
答えを書き終わった右手が加わりますが、最後の方は暗算で答えが
わかるのでそろばんでは最後まで計算せず、答えを書き始めます。
(繰り返し)
④イメージ力
そろばんを頭の中に思い浮かべる珠算式暗算の練習をすると、イメージ力を司る右脳が発達していきます。
映像や音で記憶するのが得意となり、ひらめきの力も増すと言われています。
⑤返事・挨拶・大きな声
当教室では、返事・挨拶の練習も行っています。
学校では元気に挨拶しましょう、と言われるものの、きちんとそれができるようになるまで教わるということはほとんどありません。そういった機会は厳しい部活動で訪れるかもしれませんし、社会に出ても教わる機会はないかもしれません。
しかし、これらは第一印象に大きく関わる技能です。もしかすると特技よりも大切なことかもしれません。また、大きな声を出すと脳のリミッターが解除され、通常の限界よりも大きな力を出すことができると言われており、より早い上達にも関わってきます。
返事の一撃
昔、Maxを卒業したそろばん・暗算十段の生徒が企業の面接で
「特技は?」と聞かれ、「返事が得意です」と答えました。
書類審査でそろばんが得意なことを知っていた面接官は「そろばんじゃなくていいんですか?」と聞きましたが「私は返事のほうが得意です」と答えました。そこまで言うのなら、と返事をするよう
言われ、思いっきり返事!
あまりの迫力に面接官は文字通り吹っ飛んだそうです。その場で合格を通知される正に「一発合格」の面接でした。
⑥精神力
これはそろばんだから身に付くというわけではありません。何かを一生懸命頑張って突き詰めていくと壁にぶつかり、それを乗り越えることで物事は上達していきます。
この壁を乗り越える繰り返しが人の心を強くしていきます。大切なのはもっと上手くなりたいという向上心と、それを乗り越えるための努力です。
⑦協調性
そろばんは一人で黙々と練習をするイメージがあるかもしれませんが、ある程度上手になると競技性が強くなり、多くの人と競い実力で抜かし抜かされを繰り返しながら練習をしていきます。同じ制限時間内で練習をするため一人が遅れると練習が止まってしまいます。そのため、年少者は周りについていこうと努力し、年長者はそんな彼らを助け、模範となれるよう行動していきます。これは、幼稚園生などに顕著に現れ、自分が小学生であるかのように背伸びをして練習に打ち込む姿が微笑ましいです。
⑧自分への自信
(人生での精神的支柱)
実力が上がったり、長年続けていると周りの人と比べて自分が努力をしていることに気が付きます。例えば10年間続けた習い事があったら、段位に合格したら、全国大会に出場したら。自分は子供の時あんなに頑張ったのだから、他の人には負けない!この程度の嫌な事には負けない!と自分を奮起する材料になってくれます。
そろばんの歴史
そろばんの歴史は人類の歴史
そろばんは4000年前、世界最古の文明・メソポタミア文明で「発生」しました。当時は砂に溝を引いて石を並べるだけの簡易的なものでしたが、計算方法は今の日本のそろばんと同じだったと考えられています(砂そろばん)。
2000年前にはローマへ。初めて道具として、形になりました。写真はローマ国立博物館に収蔵されているレプリカ品になります(ローマン・アバカス)。
それからおよそ1000年をかけてロシア・中国へと伝わっていきます。計算方法は今のそろばんとは全く異なるものへと変わっていきました(ロシアそろばん・中国そろばん)。
また、その際にヨーロッパや中東の一部地域ではそろばんの文化が失われてしまいます。
400年前の戦国時代、ついに日本にそろばんが到達しました。最初は海外へ渡る大商人だけが使っていましたが、戦争をする上で数の計算は大事ということで戦国大名たちが取り入れたことで普及が早まりました。江戸時代になると形が変わり日本独自のものに変わります(五玉そろばん)。
100年弱前、今の村田女子高等学校の創立者、村田謙造先生が十進法(10で隣の位が1増える)の今のそろばんを考案し今に至ります。その計算能力の高さ・教材としての能力の高さから、世界中へと伝播しており、本来そろばんをあらわす「abacus(アバカス)」よりも「Soroban(ソロバン)」の名前の方が有名になっています。



世界最古の文明から日本へ、そして世界へ
なぜ『今』、そろばんなのか!?
かつて、そろばんは「読み・書き・そろばん」とも言われ、生きていく上で最も大切な3つの学問の一つとされていました。昭和中期まではそろばん1級を持っているだけでどんな企業も採用確実・お給料が数万円高くなるという時代もありました。
やがて、電卓の時代がやってきました。もう、そろばんは必要ないと思われそろばん塾に通う生徒は全国的に激減しました。そんな折に、検定試験も簡単なものに変更されてしまい、かつての生徒たちに比べて実力的にも下がってしまいました。しかし、そろばんを競技として捉えていた一部のそろばん塾はそんな不況・レベルの低下とは無縁にあったのです。

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算数・国語といった学校の勉強に近い実務的なそろばんの時代は終わり、右脳を鍛えるため・暗算力をつけるため・己を磨くため、といった競技へとそろばんは変化していきました。
競技化したものは記録が天井知らずに伸びていきます。かつて8桁の暗算ができれば日本一だったものが、今では20桁ができないと優勝できません。
そんな無限の可能性をもったそろばんの世界。上手になる過程で、計算力以外にも多くの能力が手に入ります。以下の項目でそれをご紹介したいと思います。